伸ばしてた手はどうしても届かない
やっぱりここまでかと
真琴はそう考えてるだろう。
「何やってんの真琴のやつ 100と違って200はペース配合が大事だってこと
分かってんのか 前半からあんなバカみたいに飛ばしたら最後まで持たないぞ」
分かってるに決まってるじゃん
真琴の必死に泳いでる姿に このペースでないと必死に泳げないとハルとは並べない、というような気持ちがどんどんどんどん伝えてくる
「ねえ ハル 頼みがあるんだ
明日のフリーの200の試合 オレと本気で勝負してほしい」
「なんで なんでフリーに出るなんて言い出した
そんなに俺と勝負がしたいのか」
「今年の夏の大会が終わったら 俺たち3年は引退だろう
だからその前に ハルと真剣に勝負がしたかったんだ」
「お前はなんのために泳ぐんだ」
「それはハルと 仲間と泳ぐためだよ
だけど 明日はハルに勝つため泳ぐ」
真琴はどんな覚悟どんな気持ちで言い出したんだろう
伸ばしてた手はやっぱり届かなかった
これは天才と凡人の差か
「負けた やっぱり水の中じゃ最強だね ハルちゃん」
「なんだそれ」
やっと何かから解放できたような顔で「負けた」と言った真琴。
私にはそうは見えないが。。
「ねえ まこちゃんはどうしてハルちゃんと泳ごうと思ったの」
「俺もハルと真剣に勝負がしてみたかったんだ なんでだろう
凛が羨ましかったのかな」
あの2人には自分が辿り着けない距離があるってことを真琴は改めて気付いた。
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